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音を記す

 

みなさんは音が見えたことありますか?

私はお化けなんて信じませんが、音は見えるって信じています。

なぜなら本当に数回だけ、そんな瞬間に立ち会うことができたからです。

 

響いた音がベールのようにふわりと舞って、ホールを彩っていきます。

私は自然とそれを目で追ってしまいました。

その残り香と拍手で満たされた光景を、私は今でも忘れていません。

 

想いを込めた表現は、私たちに五感の幻を体験させてくれます。

目に見えるものしか信じない!なんて人もいますが、私たち音楽家はいつだって夢想家で、挑戦者で、道化師なのです。

見えないものを見ようとして、未来を動かそうとして、あなたが笑顔になればいいと思って。

様々な野望が音楽家に音を与えます。

 

もう一度、聞いてみますね。

 

あなたは音が見えるって信じたいですか?

 

 

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どうも、4年サックスパートの笹子です。

第19回定期演奏会のブログシリーズは今回で最後になります。

今回でなんと19回目!「第19回」にかかってちょうど良いですね!

って書こうとしたら、前のブログの銀吉屋が

「2部構成にしたいです!」

なんて言うもんですから、今回のブログは20回目になってしまいました。笑

ちょ、ちょうど良いですね…!

 

 

そして個人的ではありますが、私がここに書く最後のブログでもあります。

このサークルでの4年間を表すなら、ブログは楽器の演奏や指揮者に並ぶほど重要な存在となっています。

今では私の大切な表現方法の1つになりました。

もうブログを書けなくなることが寂しい。

 

ということで、ブログサイトにアカウントを作りました↓

https://note.com/panda_music

というか知らぬ間に見知らぬ私がアカウントを作ってました。

ずっと前にに1つだけブログを投稿しています。

気分が向いたらここで何か書こうかな。

 

 

引っ越し先も決まったので、あとは立つ鳥跡を濁さずように定演ブログの最後を締めさせていただきます。

 

最後のブログは、この広報係について書きます。

なんでブログ始めたの?

なんでブログを続けるの?

僭越ながらVoiceのブログの創始者として、その辺をちゃんと言及してから去ろうと思います。

今年の定期演奏会のお話も少しだけすると思います。

ですが今回はもっと長い期間でのお話。

私が数年間、音楽とブログに対して抱え込んできた想いを伝えます。

 

 

「音」と「文字」で創られた、私の想いを聴いてください。

どうぞ最後までごゆっくり。

 

 

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1、「音」を通して「文字」に出会えたこと

私がこのサークルに入った理由は「保険」でした。

軽音サークルにも所属していたのですが、入学当時は軽音をメインに素敵なキャンパスライフを送ろうと思っていました。

吹奏楽は「ついで」です。練習場所が近かったから。

しかし軽音サークルが本当に上手くいかなくて。

詳しくは話しませんが、軽音サークルのみんなはあんまり悪くありません。私が9割ほど悪いのです。

 

軽音は辞めたくない。演奏するのは楽しい。でもなんか馴染めない…。

軽音と吹奏楽をだらだら続けた1年生。

そんな私の天秤を傾けたのは、広報係のブログでした。

 

見てみてください、今までのブログ。

広報係としての私は「本当に」好き勝手やらせてもらいました。

身内で個人的なことをぼやいたり、

サークルの友達が書いたキャラを皆の了承も得ずに公式化したり(それって公式?)、

独断でやった企画は数知れず。

私がいた3年間で広報係は変な角度を走るようになってしまった気がします。

 

だって誰も止めてくれないから。

 

笹子被告「悪気は無いんです…。気づいたらもう遅くて…」

などと供述しており、警察は他の係からの事情聴取も含め動機の解明にあたる方針です。

 

そんな雰囲気は後輩にも引き継がれてしまいました。

いや、そんな後輩たちを呼び寄せてしまったのかもしれません。

今の広報係を一言で表すなら「真面目4:ユーモア7」です。

Voiceの広報係は混沌を極めるばかり。

共犯者ですよ、きみたちも。

 

広報係の後輩や仏の顔で見てくれた読者の方々のおかげで、私は楽しく活動することができました。

SNSやブログで「Voice of Winds」を発信するために、たくさんの人や色んな事に対して積極的に関わるようになりました。

 

私がもし広報係でなかったら、ブログを書いてなかったら、

もしサックスを演奏して、指揮を振るだけの日々だったら、

このサークルの楽しさは少しだけ減っていたでしょう。

もしかしたらその少しで軽音サークルをもっと頑張っていたかもしれない。

ゼミや他のことをもっと頑張っていたかもしれない。

 

でも今まで書き上げてきた数万字は、間違いなく私の人生に大きな価値を与えています。

 

次はそんな広報係と音楽の間に見てしまった理想のお話。

 

 

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2、Voice of Windsでブログを書くということ

それを介して何かを伝える時、

音楽は極度に抽象化された表現で、

文字は極度に具体化された表現だと思っています。

 

 

まあそもそも使われる場面が重ならないので比べるのは難しいと思いますが。

そんな2つの表現に同時に触れる機会が私にはありました。

 

 

それが広報係です。

 

「音」を「文字」にすること。

 

音で抽象化された私たちの想いを、具体的で確かな意味を持つ文字へと書き起こすことが、広報係の仕事です。

 

 

「ご来場ありがとうございました」

「先日、~祭りで演奏させていただきました」

「〇月〇日~×日の3日間、合宿を行いました」

 

これだけじゃつまらない。

表面をひらつかせるだけではなにか物足りない。

音楽を演奏できる楽しさ、数ある音楽の中で吹奏楽をやっている意味、Voiceだからこそ体験できたエピソード。

良いことばかりじゃなくてもいいから、未熟でも不格好でもいいから、もう少し中身に踏み込んだVoiceを伝えたいと思ってブログを書いてきました。

 

だって私たちは、音楽しか届けられないから。

 

音楽しか持ってないから、私たちはそれを使って聴きに来てくれる人や同じサークルの人たちと繋がりを作ります。

ブログの目的は、私たちとそんな人たちとの距離をさらに縮めることです。

「ここの演奏、聴いてみたいなぁ」

「また聴きに来ようかな」

「このサークル気になるんだよね」

そんな反応を起こすこと。

Voice of Windsの音楽へアクセスするきっかけを作ることです。

 

音楽は世界共通語!なんていうけれど、実際は曖昧で、終わりがなくて、掴みどころのない難解な記号なんです。

 

音楽って楽しいね、すごいね

 

そんな簡単な語彙で音楽を一括りにしてしまうのもしょうがない。

 

しかし、先ほど書いた「音で抽象化された私たちの想いを、具体的で確かな意味を持つ文字へ書き起こすこと」が本当にできるのであれば、

広報係の努力で、もっとたくさんの人が音楽に興味を持ってもらえるのではないか、もっとVoiceに興味を持ってもらえるのではないか。

 

 

そんな果てしない理想を追いかけていたら、時間はあっという間に過ぎていき、いつの間にか引退の日がそこまで来てしまいました…。

 

 

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3、「文字」を通して「音」に出会えたこと

私は少しでも理想に近づくことができたのでしょうか。

その答えは4年生の定期演奏会が終わる頃には自然と出るだろうと思っていました。

 

しかし、今年度の活動はほとんど潰れ、活動が無ければ広報係もやること無し。

夏が終わった頃の私のモチベーションは、まさにセミの死骸のようでした。

 

そんな状態から、定期演奏会が終わるまで走りきれたのはやっぱり仲間の存在が大きいです。

同期だけでなく、後輩からもたくさんの刺激をもらいました。

本当にありがとう。

 

でもどんなに仲間がいても、頼ってばかりはいられない。

自分で自分を律しなければならない時もあります。

 

そんな時に助けられたもうひとつのモチベーションが、ブログでした。

 

 

私が書いてきたブログには、その時の想いが保存されていました。

たくさんの期待や不満、野望が照れくさいほどに詰まっていました。

銀吉屋や他の人が書いたブログには、私とは違う価値観、視点でVoiceが書かれていました。

他人の心を読む、という行為はとてもワクワクします。

色んな本番で演奏したこと、みんなでご飯を食べて、お酒を交わして、笑いあったこと。

音楽が楽しかったこと。

 

 

ブログを読んでいた私の中に「音」が芽生えました。

 

 

その「音」はみんなで紡いできた音。

苦しくて、上手くいかないことも多かったけど、

とても温かい「音」でした。

 

私は今までのブログに救われることになりました。

そしてかけがえのない最後の演奏会を終えたと同時に、果てしない夢を見ていたこのブログの活動にひとつ、

答えを見出すことができたかもしれません。

 

 

それは「音を記す」ことです。

 

 

一瞬で消えてしまって掴むこともままならない、春の風のような音をここに残すこと。

白黒の楽譜からカラフルな音色を奏でたように、

白黒の文字からあの時の音色を形づくって届けること。

 

またあの音に出会えるように。

また温かくなれるように。

 

それが、私がVoiceでブログを書くことへの答えです。

 

今年度の定期演奏会ではたくさんの音を記すことができました。

 ブログの初投稿から数えると、3年間で約90本ものブログが投稿されています。

ブログを書くという経験は広報係になって初めてだったので、下手くそでぎこちないものが多かったかもしれません。

それでも先輩や同期、後輩と奏でたVoice of Windsの音を、ここに少しでも記すことができたなら嬉しい限りです。

このブログの活動に対して誇りを持って卒業できます。

 

 

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私の想いは届いたでしょうか。

Voiceのことを、ブログのことを少しでも好きになれたでしょうか。

またひとつ、音を記すことができたでしょうか。

 

このホームページが残る限り、たくさんのブログたちも残り続けます。

またいつか、あなたがVoiceの1ページを読み返した時、

きっとその「音」にまた出会えるはずです。

あの時の響きがベールのようにふわりと舞って、あなたの風景を彩ることでしょう。

 

 

ほら、あなたにも音が見えた。

 

 

 

 

おわり